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ウェディングベルはゴールじゃない 結婚から航海が始まる

結婚を『ゴール』と考える人がこの令和の時代にも少なからずいるようです。結婚が決まると『ゴールイン』という言葉で表現される事がしばしばあるので、その影響なのかもしれません。

もちろん、結婚することを目標として婚活をしている人は、結婚を便宜上『ゴール』と定めて様々な活動をしていかなくてはならないのはわかりますが、長い人生において結婚はゴールではありません。それどころか『スタート』です。ここから始まるスタート地点といってもいいかもしれません。
日本において、もともと女性にとって結婚は生まれ育った家を出て新しい家に入っていく門出であり、男性にとっても生まれて初めて一家の長になり、女房と子供を養う責任ある立場になるということでした。これから共に人生を歩もうと合意した両者が結ぶ『契約』です。

ではなぜ、結婚を『ゴール』と考えるようになってしまったのでしょう。この考え方は昭和のバブル期にあったようです。

1980年代後半、日本の地価は高騰し、皇居の地価でアメリカ・カリフォルニア州全部が買えるとか、東京山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買えるだとか言われるほどの景気の良さでした。

そんな時代ですから日本企業はどこも右肩上がりの好景気、いい企業に入りさえすれば勝手に給与は上がっていき、生涯潰れることなどあるはずのない会社で終身雇用が約束され、結婚したら好みのマイホームを建てるのも当たり前だったのです。

ですから当時は、安定した給与が支払われるサラリーマンを捕まえて結婚すれば一生安泰な暮らしが約束されると言われていました。女性たちはこぞって『高学歴・高収入・高身長』のいわゆる“3高”の男性を追い求め、理想の人と結婚できることを『ゴールイン』と表現したのです。
時は流れ令和の現代、昭和の幻想は露と消え、地価は下落、終身雇用はおろか大銀行大企業も簡単に倒産してしまう世の中になりました。社会に依存していては生きてはいけない時代です。

そんな中の結婚は夢のようなマイホームも贅沢な暮らしもないかもしれません。ただ、信じられる人と認め合い、助け合い励ましあいながら生きていけるとしたらとても幸せなことです。

結婚とは、社会という大海原を渡る一艘の船に乗り込み出航するようなもの。穏やかな日は協力して帆をはり体を休め、嵐の荒波は共に耐えながら一緒にオールを漕ぎ船を進め、無事に生きていけることを感謝しながら生きていくのです。「結婚から航海が始まる」と思いませんか?